職人、その「積み」の美学
ベトナム人の魂と言えば「氷」である。それはベトナム語で「ダー」である。 燃える闘魂アントニオ猪木の「1,2,3 ダー」の由来がこのベトナム人の闘魂から来ていたとは驚きである。
そして、その魂を運ぶ職人たちがいる。
とにかく一度に大量に運びたいので積みに積む。スーパーカブの最大積載量を見ると 30kg である。 1袋20kgはありそうである。合計で200kgはありそうだ。明らかに過積載である。 バイクに対してこれほど容赦無い国は無い。ベトナムはバイクメーカーのニュルブルクリンクである。積みに積む。
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職人たちが使うバイクは結晶化している。 レーシング仕様のバイクが「速く走ることだけを考える」という思想の結果、丹念に部品を組み上げ各部調整し結晶化するのと同様である。
職人の悟りとも言える思想「モノが積めればバイクなんてどうでもいい」の結果、 走る以外の全部の部品が業務中に故障しても放置、欠落しても放置、最終的にボロボロの半壊フレームにエンジンとタイヤ、そして操作用のT字の棒だけがついているだけというスタイルに帰着する。 「モノを積む」ことで「モノへのこだわりを捨てる」、「積むことで捨てる」。奥が深そうである。
職人の悟りは積み方にも表れる。仏教で言う「諦念」というやつだろうか。氷を積載するに関してなんの迷いも無い。 単に積むだけである。なんの縛り、抑えも必要ない。荷崩れするなんて思ってない。これは荷ではない、魂である。
魂を運ぶ職人である。悟りがある。バイクがある。プライドがある。技術がある。ベトナムにも重力はある。当前に道路にぶちまける。
つまり、何も無い。「空」である。
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