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Khong Say Khong Ve. ベトナムの意味なし画像集

ファミリマッ!シンチャオ 発 クレヨンしんちゃん 行

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日本でお馴染み「ファミリーマート」である。これは日本のファミリーマートではない。そっくりだがベトナムのファミリーマートである。

日本では、客が店に入ってきたら「いらっしゃいませ」が普通である。しかしベトナムではそもそもがそういう挨拶が無いのである。 無いならば作るしかないということで、ファミリーマートが作ったのが、

「ファミリマッ!シンチャオ」

である。「ート」を発音しないのがベトナム流である。教育されているのか、ファミリーマートに入るともうこれの連発である。しかしなんか変なんだ・・・

自分で自分の店名を言っちゃうのも変な感じだが、その後の「シンチャオ」がダメ押しする。

この「Xin Chao」という挨拶はベトナム語の教科書には一番最初に出てくる定番中の定番フレーズなのだが、実は現地人はあまり使わないのである。 現地人は挨拶に「Chao + 相手の人称代名詞」を使うことが多い。なので店員もあまり言い慣れてない感、客もあまり言われ慣れてない感があってお互い微妙な雰囲気になるのである。 日本語の「こんにちは」と同じである。挨拶としてはド定番なのだが実際には「こんにちは」は使える距離感が微妙で使い勝手に困る挨拶である。

しかし、それも最初のうちだけだったようで、もうホーチミンでは

「いらっしゃいませ」= 「店名 + シンチャオ」

が完全に成立したようだ。なので他の店もこの挨拶を使い始めてきている。 つまりファミリーマートがベトナム語の「いらっしゃいませ」を発明したのだ。

クレしん

ホーチミンに結構ある韓国系のパン屋で「Tous Les Jours(トゥレジュール)」という店がある。 そもそも店名が読みにくい。なんて読んでいいかわからない。 おそらくベトナム人の99%は「あのなんて言うかわからない誕生日の甘いだけのケーキ買いに行く韓国系パン屋」とだけ認識しているはずだ。名前なんて覚えてない。

いつごろからか、この店に行くと店員がいつも

「クレヨンしんちゃん」

と言い始めたのである。何度聞いても「クレヨンしんちゃん」と言っている。連発している。 たしかにアジア圏でのクレヨンしんちゃんの知名度はスゴイ、この店員たちも絶対にクレヨンしんちゃんを知っている。

うちの近所に「しんちゃん寿司」というクレヨンしんちゃんの看板を掲げた路上寿司屋もあるぐらいだし、いつも一緒に飲んでる飲み仲間のオヤジの姪もいつもクレヨンしんちゃんのTシャツを着てるし。

「しんちゃん」部分が、「Xin Chao」を言いたいのはなんとなくはわかったが、一度ハマったらもう「クレヨンしんちゃん」にしか聞こえない。

しかし「クレヨン」はなんなんだ?ファミリーマート方式だとしても店名は「トゥレジュール」で「クレヨン」とは程遠いぞ。「レ」しか合ってない。

まてよ、「Tous Les Jours Xin chao」を丁寧にベトナム語発音すると「トゥレヨウシンチャオ」*1と発音できなくもない。「トゥレヨウ」素早く言うと「クレヨン」に聴こえなくもないぞこれは。

なんというか、ファミリーマートパクってみたけど、店員も正式な店名を知らないのでベトナム語でなんとなく言ってたら、日本の有名キャラクターと発音が一緒になったという偶然だったとさ。

しかし、本当に「Tous Les Jours」が、「トゥレジュール」に近い音なのだろうか? 母国語によって音に対する敏感さが全然違うということはベトナムに住んでみていやというほどわかっている。もしかしたらネイティブも「クレヨン」って言うかもしれんぞ・・・

しかし外来語を持ってくる上でどのように自国語に取り込むというのは難しいところである。日本語のカタカナの節操の無さと強引さはスゴイ。

知ってるふりしてきたカタカナ語事典

知ってるふりしてきたカタカナ語事典

*1:ベトナム語は末尾の子音(今ならばs)を発音しない、英語から「J」のアルファベット自体を使わないのだが「ザジズゼ系」の音に割り当てられている・・・ことはわかっている、そして「南部ベトナム語訛」の特徴として清音と濁音の区別があまり無い。「ザジズゼ」が「ヤイユエ」に発音される